二夜後、ターニャははっと目を覚まして跳び起きた。まばたきしながら、音楽が聞こえる。耳をこすり、夢だと自分に言い聞かせるが、確かに何か聞こえる。ベッドのネイサンの側を見た。空っぽだ。
いいわ、眠れなくて階下へ行ったのね。音楽はかすかにしか聞こえないから、気を遣って小さくしている。たぶん書斎で事務処理でもしている。
だがそう言い聞かせながらも、彼女はナイフを思い描いていた。どこからともなく現れた、あの大きな肉切り包丁を。
馬鹿げている。姉は確かに新しいセットをくれ、料理はほとんどネイサンがしていたのだから、彼女が見覚えがないのも不思議ではない。しかし、どんなに納得させようとしても、薄暗がりの中で立って包丁を研ぐネイサンの姿が浮かんでくる。シャリッ、シャリッという音が大きくなり、刃が鋭くなっていく……
姉には腹が立つ。包丁の件ではない。この前二人が訪ねてきたとき、姉と彼氏が夜のビデオを選ぶと言い張ったのだ。『シャイニング』。宿の新しい管理人が殺人鬼の幽霊に取り憑かれ、妻を切り刻む話。ターニャがホラー映画を観ないのには理由があった。今、その理由を思い出した。
ベッドサイドのランプをつけ、ベッドから出て天井の照明もつけた。廊下の明かりも、階下への明かりもつけた。もちろん、用心のためだ。どこにハンマーや板切れが転がっているかわからない。
階段を降りると、音楽は大きくなった。低音の響きと歌手の叫び声。七十年代のヘビーメタル。ロウ家の少年は——? 彼女はぎゅっと目をつぶり、その考えを追い出した。どうせ七十年代のヘビーメタルと現代のものの区別などつかない。それに、ネイサンが先月新しいAC/DCのCDを買ってきたじゃないか? ここへ引っ越す前に。彼はたぶんそれを聴いていて、音量に気づいていないだけだ。
だが階下に着くと、低音が床板を震わせているのを感じた。まったく。眠れなくて、地下室のあの箱を探っているのね。
ロウ一家の持ち物の箱。ロウ家の少年の箱。
もう、やめて。ロウ家がいなくなってから三十年近い。地下室にあるものはすべて、今はフロリダに住む素敵な老夫婦、サリバン家のものだろう。
地下室へ向かう途中、ターニャは台所を通りかかった。立ち止まり、ネイサンが包丁をしまった引き出しを見つめた。それから歩み寄って開けた。ただ見るだけ、姉がくれたことを覚えているか確かめるだけ。包丁がまだあるか確認しているわけではない。それはあった。だがやはり見覚えがなかった。
彼女は立ち去りかけて、また戻り、包丁を取ると布巾に包んで流しの下に突っ込んだ。ああ、自分は馬鹿だと思う。でも、安堵のほうが大きかった。
彼女は地下室へ静かに降り、ネイサンが床に座り、虚無を見つめ、聞こえない声に頷いているのを見つけませんようにと祈った。またも、こんなことを思う自分が馬鹿に思え、またも、彼が箱を探る音を聞いて安堵した。中へ入ると、彼はクリスマスプレゼントをこっそり開けているところを見つかった子供のように、照れくさそうに笑って顔を上げ、さらに安堵した。
「見つかっちゃったな」と彼は言った。「音楽のせい? 十分小さくしたつもりだったんだけど」
彼の視線を追い、彼女は背筋が冷えた。部屋の向こうにレコードプレーヤーがあり、ターンテーブルの上でアルバムが回っている。床にはさらに何枚も積まれている。
「ど、どこから——?」と彼女は言いかけた。
「アルバムと一緒にここで見つけたんだ。お前、こういうの久しぶりだろ」
「それって……彼の? ロウ家の少年の?」
ネイサンは、思い至らなかったかのように眉をひそめた。「そうかもな。考えなかったよ」
彼は歩み寄ってプレーヤーを止めた。ターニャはアルバムを一枚手に取った。隅に黒いマーカーでイニシャルが走り書きされていた。T.R. ロウ家の少年の名前は何だったか? 彼女は知らなかったし、ネイサンに尋ねる気にもなれなかった。彼も知らないと信じたかった。
彼女は彼をちらりと見た。「大丈夫?」
「ああ。午後、お前が出かけている間に昼寝したから、眠れないんだと思う」
「それ以外は……?」
彼は彼女の真意を探るように見た。しかし彼女に何が言える? 最近、自分が自分でない気がする? 家族を殺せと命じる声が聞こえる?
彼女は笑うしかなかった。そう、聞き苦しく、少し自信のない笑いだったが、それでも笑いだ。姉がどんなに頼もうと、ホラー映画はもう観ない。
「お前こそ大丈夫か?」とネイサンは尋ねた。
彼女は頷いた。「ただ疲れてるだけ」
「そうだろうな、お前の働きぶりじゃ。さあ、ベッドへ戻ろう」彼はにっとした。「二人とも眠れるように、俺が手伝ってやるよ」
***
翌日、彼女は書斎で最初の予約を帳簿に書き込みながら、脇に押しやられたフォルダを見つけた。ネイサンがロウ家の殺人についてまとめたものだ。あの日置いたきり、二度と手に取っていなかった。ただ忘れていたと言い聞かせることもできたが、彼女はそんなに不注意ではない。読まなかったのは、すっかり裏切り者になった想像力に、これ以上材料を与えたくなかったからだ。
だが今、階下で見たあのアルバムカバーを思い出した。あのイニシャル。もしロウ家の少年のものでなければ、それを確認する簡単な方法になるし、安心できる。
一番上の報告書に、名前が並んでいた。最初に家族、次に家政婦、マデリン・レヴィ、そして最後に、犯人とされる十七歳のティモシー・ロウ。
ターニャは深く息を吸い込み、自分を責めた。これで何が証明できる? 彼がその手の音楽を聴いていたことは知っていた。ネイサンがしていたのもただそれだけ——音楽を聴いていただけで、包丁を研いだり、狂気じみた笑い声を上げたりしていたわけではない。
ロウ家の品物がまだ地下室にあるのが、そんなに驚くことだろうか。他に誰が引き取る? サリバン夫妻は引っ越してきたとき五十歳を過ぎていた。地下室へ降りようとしなかったのかもしれない。上階には物をしまう場所が十分にあったのだ。
サリバン夫妻といえば、この家に二十五年も住んでいた。もし幽霊が出るなら、そんなに長く住むだろうか。
幽霊が出るなら? 彼女は本当にその可能性を考えているのだろうか? 彼女はぎゅっと目をつぶった。自分はそういう人間ではない。そういう人間にはならない。私は理性的で論理的なのだ。単純な常識で説明できないものを見るまでは、想像力には隅で反省させる。
その光景に少し笑みがこぼれ、落ち着いて記事を読むことができた。今度こそ空想を否定しようと決めて。証拠は次の段落にあった。ティモシー・ロウは父親を撃ったと書かれている。撃った。大きな恐ろしい肉切り包丁では——
彼女の視線はその行の残りで止まった。最初に戻り、読み直した。ティモシー・ロウはまず父親を撃ち、その後、十インチの厨房用カービングナイフで残りの家族を残忍に殺害したらしい。
だから何だというの? ネイサンがあの古いレコードと一緒に凶器を掘り出したとでも? もちろん違う。数行先には、銃もナイフも回収されたと書いてあった。
もしネイサンが同じものを買っていたら? 再現せずにいられなくて——
彼女は両拳を目に押し当てた。殺人鬼の少年に取り憑かれ、自分を殺そうと企むネイサン? 自分は気がおかしくなっているのか? ネイサンだ。十年連れ添った、あの気立ての良い気楽な男だ。時折ぼんやりする以外はいつもどおりで、その「時折」はパラノイアの種ではなく、医者に行くべき理由だ。
彼女は残りの記事にざっと目を通した。新しいことはない。同じ話が繰り返されているだけだ。容疑者が死に、話も自然消滅し、街の誰も触れたがらない歴史として葬り去られた。
最後のページは、事件から一周忌に掲載された追悼記事で、犠牲者全員の写真が載っていた。ターニャは家族写真にちらりと目をやり、フォルダを閉じようとしたとき、家政婦マデリン・レヴィの写真に視線が引き寄せられた。
数分後ネイサンが入ってきても、彼女はまだその写真を見つめていた。
「おい、どうした?」
「あの、私——」彼女は家政婦の写真を指した。「この女性を見たことがある。家を見学していたとき、外にいたの。ラズベリーを摘んでいたわ」
ネイサンの口元は、彼女の下手な冗談を期待し、望んでいるかのようにひくついた。視線が合うと、笑みは消え、彼は彼女の手からフォルダを取って机の端に座った。
「売ることも考えたほうがいいと思う」
「な、何を言ってるの? 嫌よ、私は——」
「この家はお前に作用している。もしかしたら……わからない。本当に何かあるのかもしれない。作業員たちはそう思っていた。人によっては影響を受けやすいのかも——」
彼女は背筋を伸ばした。「私は暗示になんかかからないわ——」
「お前は好きだった仕事を失った。家も家族も離れ、すべてを捨ててやり直した。それが今、思い描いた通りにはいってない。大きなストレスを抱えているし、開業すればもっとひどくなる」
彼は彼女の手を取って立たせ、腕を回した。「ビームズビルのB&Bのオーナーが、この家のことを聞いてきてる。以前から目をつけていたんだが、手を入れる箇所が多くて手に負えなかった。今は俺たちがやったことを見て、興味を持ってる。とてもな。諦めるわけじゃない。古い家を改装して、利益を出して転売するんだ。それのどこが悪い」
彼女は立ち上がった。「いいえ。私が馬鹿なことを考えてるだけ。諦めないわ。開業まで三週間もないのよ。やるべき仕事がたくさんある」
彼女は事務仕事に戻った。彼はため息をついて部屋を出た。
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