オスカーとの電話を切ると、ローリーにメッセージを送る。三十分後、彼は私たちの家で、動画とコメントに改ざんの痕跡がないか解析している。ローリーは物理の院生だが、専門は量子コンピューティング……そして若気の至りでハッキングをひととおりやった。
トリニティが誰の想像する物理学博士課程の学生像にも当てはまらないなら、ローリーは歩くステレオタイプで、コンピュータオタクと科学オタクが二重らせんに絡み合った雰囲気をいとも簡単に醸し出している。彼は私より少し高いだけで、細身でひょろっとしている。救いは髪で、男らしいアイドル風の濃い巻き毛だ。今日は「スーパー・ジュー」のTシャツに、彼がアイロンをかけたのはほぼ確実な青いジーンズ。糊まで当てているかもしれない。あまり褒めていないようだが、私にとってローリーのような男は本当は変装したスーパーヒーローだ。優しくて面白くて頭が恐ろしく良く、トリニティみたいな女のレーダーをすり抜ける包装に包まれている。日曜の朝だというのにローリーが私のSOSに即座に返事をくれたことを見逃したりはしないし、それが嬉しくないふりもしない。
一時間ほど作業したあと、ローリーは回転椅子に寄りかかり、眼鏡を直す。「何と言っていいかわからないよ、ハンナ」
「真実を言って?」
「外部からの改ざんの痕跡は見つからない。あのオーブがどうやって動画に入るのかはわからないけど、君がアップロードしたものと同じ動画みたいだ。誰かが落として、加工して、もう一度上げているわけじゃない。コメントについては、すべてこのコンピュータから投稿されたことを示している」
私は小声で悪態をつく。「私じゃない」
「もし君だったら、僕を調査に呼んだりしないさ。本当の犯人は……」彼の視線が家の奥へ走る。
「トリニティでもないと思う。彼女、このことで本当に取り乱してる」
「ふむ」彼は閉まったドアにもう一度目をやり、声を潜める。「トリニティは注目が好きだ。でも君たちがウェビゾードに移ってから、注目されてるのは君だ。君はクールで個性的な科学オタク。トリニティは飾り。君のコメディに対するツッコミ役だ」さらに声を潜める。「君が単独企画のオファーを処理してるのを彼女は知ってるのか?」
「ああいうのは来たらすぐ削除してる。トリニティとはこのことが起こる前からうまくいってなかった。彼女は私がオタク文化ネタで馬鹿にしてると思ってるし……」ため息をつく。「彼女の機嫌を取るのは思ったより大変」
「ふむ」
私はコンピュータに向き直る。「彼女、私がやってると思い込むわ。どうやって違うと納得させればいい?」
「番組を終わらせることだ」
私が身を固くすると、彼は言う。「始まりはお遊びだった。でもトリニティの問題と毎週の二日酔いのせいで、君はもう楽しんでない。君には仕事のオファーもある。卒業を待つだけでいい、専門分野の本当のオファーが。この番組は必要ないんだ」
「トリニティには必要なの。彼女にとって大きな意味がある。露出もお金も」
「彼女が君をみじめにする理由なら、君が続ける良い理由にはならない」
「私たちは大丈夫」そう言ってキーボードを取り、コメントを確認することに没頭する。
「君はトリニティがあのコメントに本当に取り乱してるって言ったね。あれは過剰反応に思えるか?」彼は身を乗り出し、黒い目を面白がって輝かせる。「たぶん、うちのトリニティは秘密の殺人者で、良心の呵責に苦しんでるんだよ」
私はうめく。
「君は彼女が幽霊を信じてると言った。過去が文字通り彼女に取り憑きに来たと信じてるのかもね」
彼が幽霊の声を真似し始め、私は笑ってやめるように言う。ちょうどそのときトリニティが入ってくる。私からローリーへ視線を移す。
「今、二人が幽霊の話をしてるのが聞こえたんだけど?」
「え、いや、私たちは──」
「私をからかってたのね、ハンナ」
ローリーが椅子を私たちの間に滑り込ませる。「違うよ、僕が幽霊の冗談を言って、ハンナはやめろって言ってたんだ」立ち上がる。「今朝はラボがあるから行かなくちゃ。でもその前に……」バックパックから包んだマグカップを差し出す。「もう少しで忘れるとこだった」
包みを開けると、番組で私が言い換えた「ぐにゃぐにゃの時間っぽいもの」という引用が入った『ドクター・フー』のマグカップが出てくる。私が笑うと、トリニティの表情が目に入る。
私は急いでマグを包み直す。「部屋に置いてくる」
彼女はマグをひったくり、カメラに向けて机の上に置く。「ほら」と挑むような目を私に向ける。ローリーは目を細めて応じるが、トリニティは気づかず、ただ椅子にどさりと座り、「で、改ざんの証拠は見つかった?」
***
つまり、このコメントは私たちのアカウントから投稿された。私たちのコンピュータから。しかも、トリニティが二階の寝室へ行き、私がひとりソファで酔いを潰して眠っているあいだに投稿されている。
論理的には私が犯人だ。トリニティは私の抗弁も言い訳も信じない。彼女は私がやったと確信している。なんとかしなければ。
ローリーが、トリニティの取り乱し方が怪しいと言ったことを考え続けている。彼が彼女が人を殺したかもしれないと言ったのは冗談だ。それなのに……
トリニティが妄想を募らせるほど、彼女の過去にそれだけの理由があるのか気になってくる。実際に殺したかどうかは別として。でも私がうっかり「殺人で非難されてる」と言うたび、彼女は必ずすかさず、コメントはそんなこと言っていない、私たちのどちらかが死に対して責任があるとだけ言い添える。
私は『ラストサマー』を冗談にした。あの映画では十代の若者たちが誤って歩行者をはねて死なせる。トリニティの過去にそれに似た何かがあったとしたら?
そんなに劇的でなくてもいい。私はサマーキャンプで溺れた女の子と一緒にいて、彼女が沈むのに気づかなかった罪悪感が今もある。たとえ他の十数人の子供と三人のカウンセラーも気づかなかったとしても。母はそれをサバイバーズ・ギルトと呼ぶ。
誰かがトリニティが事故死に罪悪感を抱いていると知っていて、荒らしているのかもしれない。苦しめているのだ。トリニティの過去に何かあれば──あのコメントと関係あろうとなかろうと──彼女の妄想を理解する助けになる。
図書館で検索する。共用パソコンが学部生で埋まっていなければ、検索履歴を隠すためそれを使っただろう。それって妄想じみてる? かもね。でもトリニティが私の検索履歴を見つけるところを想像するだけで背中が強張り、最近自分が思うよりストレスがたまっていることを示す痛みが走る。
番組をやめるというローリーの言葉を思い出す。それで構わない。むしろほっとするかもしれない。両親は二人とも企業研究者で、裕福とは言えないが、番組の収入は必要ない。貯金口座にずっとためている。それに、もう酒は本当に疲れた。以前は友達とたまのパブの夜が楽しかったのに、今はコーラをちびちび飲むか、誘い自体を断ってしまう。
問題はトリニティだ。彼女の重要な収入源を奪う嫌な女にはなれない。でも、心配は要らないかもしれない。質問の答えは想像よりずっと早く見つかったから。
高校時代、トリニティは、いじめられていた同級生の自殺の責任を問われていた。
それを読んで、胃がきゅっと縮む。いじめられるのがどんなものか知らないふりはしない。私は目立たなすぎて標的になりにくかったが、高校には、私を極めて過小評価された見逃された標的と決めた女の子がひとりいた。今でも彼女のファーストネームをネットで見ると緊張する。
実際の記事では、同級生の自殺についてトリニティの名前は出ていない。「現時点で起訴されていない、匿名の十六歳の同級生」によるいじめとしか書かれていない。トリニティを加害者として名指ししているのはソーシャルメディアで、そこでも彼女が非難された人物であることには誰も異論はないが、罪の有無は激しく議論されている。
要約するとこうだ。トリニティが十六のとき、同級生のヴァネッサ・ライオンズが自殺した。遺書の中で彼女は、中学校時代には親友だったトリニティから継続的かつ組織的な嫌がらせを受けていると訴えていた。ヴァネッサによれば、トリニティはチアリーダーになり人気者グループに入ると友人を捨て、ヴァネッサが礼儀正しい関係を保とうとすると、彼女をいじめ、罵倒し、鬱が命を奪うまで追い込んだという。
よくある話で、悲しいほど真実味がある。少女たちは親友同士。でも一方は美しいチアリーダーに成長し、もう一方は……そうではない。人気者の少女は格好よくない友人を捨て、友人はもがき、理解しようとし、手を差し伸べると、人気者の少女は侮辱で追い払う。その侮辱は友人のすでに紙のように薄い自信を切り裂き、自殺が唯一の選択肢と思える場所まで追い込む。死によって、彼女はようやく真の殺害者を告発できる。
その記事を読みながら、トリニティの背後に浮かぶオーブを思い浮かべずにいられない。あのメッセージを再び見ずにいられない。
死によって、彼女はようやく真の殺害者を告発できる。
自分を責めながらも震える。ヴァネッサ・ライオンズの幽霊が墓の向こうから復讐しに戻ったわけではない。でも、別の誰かが戻ってきた。トリニティを責める誰かが。
問題は、実際にトリニティを責める人は少なかったらしいことだ。ソーシャルメディアでは彼女の友達が彼女を擁護し、トリニティが自分たちの聞いている前でヴァネッサについて意地悪を言ったことは一度もないと言い張った。友達なら当然そう言うだろう。でもいじめを目撃したと主張する同級生はほんの数人で、その信頼性も疑われていた。トリニティを責める人の大半は何も見聞きしておらず、「もちろんやったに違いない。ああいう女はみんなビッチだから」という言葉で単に断罪していた。
これを読み、トリニティを知る者として、彼女がやったとは思えない。でも彼女が取り乱す理由はわかった。
彼女はヴァネッサ・ライオンズが戻ってきて自分に取り憑いたと信じているのだ。
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