アブサンと天使たち
「ディケンズをまともに読むなら、アブサンが要る」マイケルがグラスを掲げながら言う。「ミューズの神酒だ」
アヴァは首を振る。「こんなの飲んで、まともに物を書ける人なんているわけない」
「昔の作家はみんな飲んでたさ。でなきゃ、こんな文章は書けなかった。どうやって書いたと思う?」彼は本を掲げ、最初の幽霊が現れる場面を数行読む。「信じてくれ。あれには化学の力が必要だったんだ」
「とにかく、うちのクリスマスツリーが実は燃えてないって言ってよ」と彼女。
マイケルはくすっと笑う。「大丈夫、燃えてない。火がついてるのは君の頭の中だけさ」彼女のグラスに注ぎ足しながら言う。「まあ、ツリーが本当は燃えてて、燃えてないと幻覚を見てるのが俺のほうだったら、って可能性もあるけどな」
アヴァはプレゼントを引っ張り出し、「念のためよ」と言い、マイケルは笑って彼女の頬にキスをしてから朗読を再開する。
アブサンは実際、それほど悪くない。物事が、より明瞭に、くっきりと見えるようになる……そして、ときには奇妙なものも見える。ホリデーに少しくらい頭がふわふわしたって構わない。
アヴァはもう一口飲み、横向きに寝転がって、マイケルが『クリスマス・キャロル』を読むのを眺める。彼女の一番好きなクリスマスの物語。つまり彼女は、本当は奇妙なものが好きなのかもしれない。でも今は、言葉がただ流れていき、彼女は彼を見つめている。暖炉の温もりと、彼がくれた贈り物に浸りながら。
ツリーの下の箱に何が入っていても、あれが本当の贈り物ではない。これが、本物のプレゼント。完璧な休日の隠れ家。
まず、雪の中の山小屋。それも、リゾートのコテージでは駄目だ。ここでは一番近い隣人まで一・六キロ。道路からも離れていて、四輪駆動でなければ辿り着けなかった。
隣人なし。Wi-Fiなし。携帯も圏外。あるのは静けさだけ。
マイケルは、彼女がこのクリスマスを乗り越えられるように、あえて人里離れたこの場所を選んだ。子供の頃、アヴァの家族のクリスマスは素晴らしかった。父が出ていってからも、母は、特にホリデーシーズンには家を守ってくれた。今、その母はいない。二ヶ月前、癌に奪われた。先月、兄のジョリーから電話があり、クリスマスには帰らないと言われた。
だからマイケルはこれを用意してくれた——友人たちが泊まっているスキー・シャレーから十六キロ離れた、静かな山小屋を。
今日はクリスマス・イヴ。雪が降り、暖炉の火が燃えさかり、アブサンで頭がふわふわして、婚約者が『クリスマス・キャロル』を読んでいる。
これ以上の夜はない。
アヴァは窓の外を見る。暗闇に雪が舞う中、彼女は月明かりの下の森の散歩を思い描く。今夜の完璧な締めくくり。寒くなければ、散歩以上のこともあるかもしれない。
その考えに微笑み、飲み物をすすり、舞い落ちる雪を見つめ、白く縁取られた果てしない常緑樹を想像する。二人だけの冬のワンダーランド。マイケルがページをめくるために間を取ったとき、何か聞こえた気がした……音楽? それとも歌声?
ああ、天には天使の歌が……
天使か、アブサンか。血管の中で歌っている。
マイケルは声を張り上げてスクルージ役を演じ、そのあと声を潜めて——
鋭いノック音が響き、アヴァは飛び上がる。アブサンがこぼれる。マイケルは山小屋のドアに眉をひそめる。
「今の、聞こえた……?」と彼。
アヴァはグラスを握りしめたまま、うなずく。
「鳥か?」マイケルは立ち上がりながら言う。
彼がドアに向かおうとすると、アヴァは慌てて起き上がり、彼をつかむ。「やめて。お願い」
彼は眉を上げる。「過去のクリスマスの幽霊じゃないのは確かだ。もしそうだとしても、君のほうに来たんだろう。俺はとてもいい子にしてたからな」
彼が微笑み、アヴァは掴んでいた彼の袖を緩める。「ただ……気をつけて」
彼はドアに向かい続ける。「賭けよう。鳥か、風か?」
再びノックが来る。今度は鳥や風の音と聞き間違える余地はない。はっきりした三回のノック。固い木を叩く指の関節。
アヴァはそっと脇の窓に近づき、外をのぞく。雪に覆われた小道に、二人のトラックが一台きりで見える。玄関の方を見ようとするが、角度が悪い。
振り返ると、マイケルが後ろにいて、外を見て眉をひそめている。再びノック。三回。
「出ないで」と彼女は言う。
「車が見当たらないからこそ、誰かがこのドアを叩いてるのかもしれない」彼が言う。「道で立ち往生して、明かりをたどって来たか。迷ったハイカーかもしれない。クリスマス・イヴに、あの人たちを外に放っておくのか?」
アヴァは声を張る。「どなたですか?」
返事はない。マイケルがドアへ大股で歩く。「誰だ?」
沈黙。
「誰だって聞いてるんだ」彼の声が小さな小屋に響き渡る。
それでも何も。アヴァは正面の窓の方へ横歩きする。見えるのは降り続く雪だけ。手をかざしてガラスに近づき——
白い顔が現れる。目の穴は黒々とし、口は赤く裂けたような、真っ白な顔。アヴァは悲鳴を上げてよろめき、マイケルが駆け寄る。そして彼もそれを見て、足を止める。
「何だ、こいつは」と彼。
男は古めかしいスーツ姿——ジャケットにネクタイ。頭には、グロテスクな顔が描かれた枕カバーを被っている。隣にもう一人。同じく絵の描かれた枕カバーを被り、その下には昔風のパジャマを着ている。
「君にも、俺が見てるものが見えるか?」マイケルがささやく。
アヴァは答えない。同じものを見ているのではなければいいと思う。自分が想像しているだけだと。幼い日の悪夢から現れた幻だと、自分に言い聞かせたい。
マイケルが再び口を開く前に、一人が枕カバーの顔を窓に押し付け、言う。「食べ物をよこせ。酒をよこせ。さすれば、我らの歌を聞かせてやろう」
声は不気味で不自然で、息を吸いながら話すような、ぜえぜえという喘ぎ声だ。
アヴァは一歩下がり、マイケルにぶつかる。彼は彼女を抱き寄せてささやく。「窓の外に二人いるよな。古い服を着て、枕カバーを被ってる。そうだよな?」
アヴァはうなずき、ようやく口を開く。「ママーズよ」
「ママ……?」
「食べ物をよこせ。酒をよこせ。さすれば、我らの歌を聞かせてやろう」と二人が声をそろえる。
「ママーズよ」とアヴァはささやく。
「君が話してくれた……あれか」彼は言葉を途切れさせ、かすれた笑いをもらす。「なるほど、君の言ってた意味がよく分かった。怖がるのも無理はない」
去年、ふたりはアヴァの大学時代の友人たちと飲み、クリスマスにまつわる怖い話を披露し合った。話題の大半は、クリスマス後の恐ろしいクレジットカードの請求や、酔った親戚と過ごす夕食の苦労など、ありがちな冗談だった。だがマイケルは、ドイツ人の祖母から聞いた旧世界の化け物、ベルスニッケルの話で、皆の上をいった。それはアヴァのためだった。彼女がクリスマスの本当の恐怖、ママーズについて打ち明けた後だ。友人たちは笑って彼女をからかい、マイケルは自分の話で彼女を救い出してくれた。内心では、彼も友人たちの笑いに加わりたい気持ちを必死に抑えていたのだろうと、アヴァは疑っていたけれど。
マイケルはママーズを知らなかった——アヴァがベルスニッケルを知らなかったのと同じだ。マイケルの故郷オンタリオには、ありがたいことに、ママーズの伝統とは無縁の土地だった。アヴァはニューファンドランド育ちで、友人のほとんどはその伝統を知っていた……そして、かっこいいと思っていた。
かっこよくなんか、なかった。三歳の年の瀬。クリスマス・イヴの夜、鈴の音で目を覚まし、サンタのそりが見えるかと窓に駆け寄り、目にしたのは、奇妙な衣装と恐ろしい枕カバーの頭をしたママーズの一団。アヴァはとっさに身をひそめたが、一人に見つかってしまった。彼らは窓のそばに集まり、あの喘ぐような声で彼女に尋ねた。いい子にしていたか、と。もしそうでなければ、また来ると言った。彼女がベッドの下に隠れたあとも、彼らは窓の外に居座り、からかい、怖がらせ続けた。
そして今、またママーズが窓の外にいる。そんなはずはない。絶対にありえない。
「正直に言うと、この年になっても、こいつらはちょっと怖い」マイケルがささやく。「三歳だったら、漏らしてたな」彼は一歩踏み出す。「とにかく、こっちは興味がないと伝えて、迷惑料を少し渡して……」
彼は足を止める。アヴァがとっくに気づいていたことに、ようやく思い至ったのだ。
「こんな場所で、何をしてるんだ?」と彼。「一番近い町でも——」
「十六キロ先よ」
マイケルは深呼吸する。ママーズをじっと見てから言う。「近くの小屋の連中だろう。俺が片づける」
彼は窓に歩み寄る。「なあ、ふたりとも。来てくれたのはありがたいんだが——」
手袋をはめた手がガラスを叩く。マイケルは飛び上がるが、肩を張り、後ずさりまいと自分を奮い立たせる。
「俺は婚約者と二人で、静かにロマンチックなクリスマスを過ごしてるんだ。お二人なら分かってくれるだろ。もっと喜んでくれる相手がいいなら、別の小屋が——」





